保存植物

地域の固有種や希少種を保護・保存すること。そして緑化用樹木として活用し、地域経済のために活用できるように準備を進めています。できるために適切なプロセスによって経済利用するため、樹木医甚兵衛では各植物の入手経路を明確にし、増殖用の母樹林を整備を進めています。また、地域性苗木を徹底することで植物の適切な流通を心がけ、地域の生態系にとって悪影響を及ぼすような適切な不適切な利用方法であると判断される場合には、苗木の販売をお断りするなどの厳格な判断をしています。

植物を保存するためには多くの手順、つまり長い時間と多大な労力が必要となっています。

①目的の植物(個体)を発見する。

②地権者から許可を得る。

③種によって適した増殖方法について調べ、技術を確立する。

④適した時期に種子や穂木の採取を行う。

⑤増殖する。

⑥移動できる状態になるまで生育管理を継続する。

クマノザクラ

古座川流域やその近隣地域に自生するクマノザクラは、学術的・形態的に価値が高い個体が多いと考えています。また、古座川町にとってすでに有用な観光資源となっており、経済的な活用が期待できる大きな可能性を秘めているにも関わらず、適切な管理や有効利用がされていません。地域にとって取り返しのつかない大きな損失となってしまう前に、あらかじめこれを保存しておく必要がありました。

古座川町

 池野山タイプ標本木、池野山系統、武士屋敷系統、高瀬系統、潤野系統、鶴川系統、峯系統、洞尾系統、長追系統、中崎系統、猿川系統、小森川系統、奥番系統

串本町

 重畳山ちりめん系統、重畳山濃色系統、重畳山早咲系統、重畳山八重系統、紀伊大島系統、高富系統

那智勝浦町

 那智山系統、粉白系統、長井八重系統、口色川系統

太地町

 畠尻湾系統、高倉山系統

これら多くの系統がすでに挿木や接木によって増殖に成功し、遺伝的に同一個体であるクローン苗木として保存されてます。これらの優良系統は、将来苗木の生産に取り組もうとする際にも重要な意味を果たします。いまはまだ多くの人がその価値に気づいていませんが、手遅れにならないうちに取り組むことが重要でした。

クマノザクラの挿木については、研究を始めた当初の2016年は0.25%とかなり低い活着率でした。その後研究を重ね、2021年には最大で60%にまで達しました。今後採取用の母樹林整備が完了し、ミストルームなどの設備を充実させれば、さらに活着率を高めることが可能であると考えています。

挿木によるクローン苗の増殖に成功したことによって、地域絶滅の回避、文化的に重要な個体の保存、鑑賞用に優れた形質を有する個体の商業的活用、そしてそれらの基盤となる母樹林の整備に向けて、大きく前進することができました。

こうして大切に育てた苗木は、東京都の皇居東御苑、北海道の松前公園、大阪府の桜スタジアムなど、ごく限られた場所に納めさせていただいています。

キイジョウロウホトトギス

アサマリンドウ

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タニジャコウソウ

シチョウゲ

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ヤマアジサイ

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あがらの桜をまもるんや!

【あがらの桜をまもるんや!】クマノザクラの桜守

クマノザクラとクマノビト 書籍販売

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