山奥の僻地である小森川では、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。
小森川集落は、現在一世帯一名のみが居住する限界集落です。
樹木医甚兵衛では、その一世帯の居住者の協力のもと、小森川集落を活用してクマノザクラをはじめとする紀南地域の希少な遺伝子を保存するためのジーンファームの整備を行っています。
ジーンファームという言葉を直訳すると、「遺伝子の農場」です。小森川保存林は、紀南地方に生息する生物を保全し、安定的に増殖することで種の保存に務めます。それを樹木園という誰もが楽しめるように鑑賞できるような形で維持し、最終的にはその遺伝資源を自然環境へと還元していけるような仕組みを作りたいと思っています。
自然を保護すると同時に、足を運んでくれる人々に古座川の素晴らしい生活文化を伝えていくことも大切な目的のひとつです。
地域の花が咲く美しい環境を維持すれば、それを見に人が訪れ、集落が消滅することを防ぐことができるのではないか?そんな住民の想いも背負って活動しています。
「鯛釣り祭り」の開催をお手伝いすることで、小森川集落の文化を守る活動にしていきたいと考えています。
当面の目標は、小森川集落をクマノザクラが咲き誇る「桜の郷」にすることです。
しかし現実はそれほど甘いものではありません。
集落の大部分は、ほとんど住んでいたままの状態で放置されています。
建物は家財道具なども残地されたまま、長年の風雨によって傷み、倒壊寸前の危険な状態です。
田畑や人工林も放棄され、荒れ果てた状態となっています。
登記情報や所有者も不明である場合も多く、土地を利用するための交渉も手探りの状態が続きます。
作業を始めたのは2020年のことですが、小森川保存林の名称で正式に活動を発表したのは2021年2月28日のことです。
まずは地権者を見つけ出し、使用する許可を得なくてはいけません。安心して活動を続けていくためには、所有権を移転させてもらうことが重要です。そうしてようやく整備を始めることができます。
そしてお掃除です。草や雑木を切り開きながら、朽ち果てた建物の残骸や放置されたゴミを片付けていきます。
こうして綺麗になったところが、ようやく活用できるようになります。駐車や資材置き場、作業のためのスペースを確保して作業効率を上げます。
水生生物を呼び込むために水を引き込んで作った池は、早くもアカハライモリや魚、たくさんのトンボが入ってきました。いずれはハッチョウトンボも来てくれたら良いなと思っています。
これまでにもすでにたくさんのクマノザクラを植樹していますが、実は植えるまでには、こうして途方もない時間と労力が費やされています。
花を咲かせるまでの期間、そこにはまた長い時間が必要となります。
今回作業を行ったのは、正式に譲渡を受け、所有権移転の登記が正式に完了した土地です。
ひとりで黙々と作業を続け、ようやく綺麗な状態になりました。大きな重機も入れることができないので、すべて人力での作業です。
草を刈りながら、あらかじめ幹を切り詰めていおいたシキミやヒサカキを取り除き、更地となりました。ここは安心して使える土地で日当たりも良いので、挿木によって増殖した地域の優良系統や文化的価値の高いクマノザクラのクローン苗を植樹していきます。
畑で母樹林としてきちんと管理し、これを活用することで安定したクマノザクラ苗の増殖につなげていきます。
そして小森川には、みんなが集まって休憩したり、自然を楽しんだり、学んだりできるビジターセンターを建設しています。
完成すれば、樹木医甚兵衛がこれまでに収集してきた専門的な書籍や資料、光学顕微鏡などの実験観察のための設備を設置する「森の図書館」としてオープンする予定です。Wi-Fiなどの設備を備え付ければ、奥番集落跡地などのトレッキングルートの中継基地として機能させることもできます。
いつになるかはわかりませんが、最終的には宿泊ができるような施設にしたいと夢見ています。
現在は基礎工事までが完了していることろですが、建設資金集めに苦心していて、完成までにはまだ時間がかかりそうです。
一人での作業は大変ですが、できることを地道にこつこつ続けていこうと思います。
そんな樹木医甚兵衛の作った書籍「クマノザクラとクマノビト」がアマゾンで販売されています。
この書籍の売れることで、樹木医甚兵衛が安心して活動を続けることができます。
「クマノザクラとクマノビト」を販売してくれるお店も募集しています。
詳しくは お問い合わせ ページよりご連絡ください。
また、この記事を読んだみなさんが、スポンサー企業を探す宣伝部長になってくれるととても助かります。みなさんの協力をお待ちしております。
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