暖かさと共に、クマノザクラの薄い芽鱗が少しづつ開いていきます。
‘染井吉野’では開花までの変化がある程度段階的に観察できるものですが、クマノザクラは開花の直前に加速度的に花芽が開いていきます。劇的に開花が進む様子をじっくりと観察していると、清楚な印象の花とは対照的で、情熱的な感動を覚えます。
冬芽(休眠期)
休眠期の冬芽は、薄いうろこ状の皮に包まれており、これを芽鱗(芽鱗)と呼びます。よく見てみるとタケノコのようにも見えます。やや硬そうな芽鱗の先端が外向きに開くヤマザクラとは異なり、薄く沿うようにピタッと閉じているのがクマノザクラの冬芽の特徴です。
開花10日前
2月あたりから徐々に花芽が動き始め先端が開きだすのですが、この状態がぎりぎりまでずっと続きます。‘染井吉野’では、「花芽が半分緑色になった」「先端がピンク色になった」などの細かな状態で、開花までの日数を予測しますが、クマノザクラではそれが通用しません。
開花7日前
開花の7日前で、ようやく花芽の先端が緑色に見える状態になります。ここまではまだか?まだか?と毎日観察を続けていても、大きな変化はありません。じらすタイプですね。
開花5日前
開花の5日前で、先端に花びらのピンクが見えるようになります。ここからは爆発的に開花が進んでいきます。
開花
先端が開き始めてからは、あっという間に開花です。毎日、毎日、この日を待ちわびながら観察を続けていますが、何度繰り返してもそこには感動があります。ヒトとは異なり、植物は決して人を裏切りません。ひとつひとつの花は、天候にもよりますが一週間弱で散ってしまいます。
もちろんその年の気象条件によって開花の進み具合は変わりますが、春を待ちわびる方の参考になればとまとめてみました。2022年のクマノザクラの開花前後の様子を、毎日定点観察して撮影をおこないました。ことしの観察の参考にしてみてください。
あがらの桜をまもるんや!
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